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ここのところの漫画購入の傾向は、10代の頃に読んだことのある作品の再読である
「懐かし買い」 の様相を呈してきている。

『BANANA FISH』 以後に揃え始めた 『王家の紋章』 (細川智栄子、秋田文庫)も
「懐かし買い」 の1つだ。高校時代には休み時間・授業中を問わず読みふけっていた。
あれから10年近くが経っているのでさすがにもう完結しているだろうと思っていたら
「ガラスの仮面状態」 だったとは。

*

同じく高校時代に読んだ 『天は赤い河のほとり』 (篠原千絵)は
『王家の紋章』 のパクリ作品だと言われているが、
完結している分だけ読者に対しては親切だと言えよう。

『王家の紋章』 には私にとっての萌えポイントが少なく (しいて言えばミヌーエ将軍)、
またメンフィスと結婚することで自動的に王妃の座に納まった主人公のキャロルにも
共感できないが、『天河』 のカイルはとりあえずイケメンだし、
ユーリは一応自分の力で皇后にまで上りつめたという点において、
パクリだろうと何だろうと 『天河』 の方が好きだ。


*

「好奇心は災いの元」 とは 『不思議の国のアリス』 に出てくるセリフだが、
キャロルもまた好奇心で色々な国へ行っては捕らえられ、
その度メンフィスが怒髪天を突いて奪還に尽力し、めでたしめでたしと思いきや
現実世界へ引き戻されて一騒動…とパターン化している 『王家』 と比べ、

『天河』 には 「ユーリを日本に返す」、「ナキア皇后に立ち向かう」、
「対エジプト戦に勝利してユーリが皇后になる」 など要所要所に盛り上がるシーンがあるし、
物語の終点というか目指すものが明確なので、
読み終わってカタルシスが得られるのは 『天河』 の方だ。

それでも 『王家の紋章』 を買ってしまうのは、
『渡る世間は鬼ばかり』 や 『サザエさん』 をつい見てしまうのと同じようなものだろうか。

*

『王家の紋章』 はコミックスではなく数ヶ月に1度刊行される文庫の方で
揃えていくつもりなので、思い出したときに買うということになるだろう。
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